「イザイホウ」(於:渋谷アップリンク)

渋谷アップリンクで「ドキュメンタリー イザイホウ」を見ました。
「イザイホウ」は1978年まで沖縄の久高島で行われていた祭祀で、古代の姿を色濃く残した祭りといわれています。
写真や本で祭りの大まかな内容は知っていましたが、動画を見るのは初めてでした。南の島の美しい神秘的な祭りというイメージを勝手に持っていたのですが、実際は非常に生々しい。

前半は当時の久高島の生活が丁寧に描かれます。ノロを頂点とする共同社会。男は死と紙一重の漁師として海に出る。女はそれをただ待つ事しか出来ない。この孤島ではそうすることでしか生きられない…だからこそ「海に出る男を守護する女(神女)」を造る儀式が必要だったのであって。
開放的な南の島の風景なのに箱庭の中で暮らしているような息苦しさを現代の自分は感じてしまいました。
彼女たちの抱える悲しみややるせなさといった昏い感情が祭りで爆発しているようで。

イザイホウを復活させようという話は今でもよく聞きますが、形だけなぞることはできても、本当の意味でのイザイホウはもう出来ないと思います。
作中は1966年ですが、すでに「子供を漁師にはしたくない」という母親がいて、子供たちは外の世界に出て行きたがっている。
現代においては考えられない社会構造ありきの祭りであり、「男を護る」ためにあれほどの狂気を表せる女性が今どれだけいるのか。

抑圧や悲しみといった感情を内包し、南の太陽の下で昏く強くかがやく白装束の女性たち。
いつか彼女たちの暮らした久高島に足を運んでみたいものです。

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date: 2015-01-24 | Category: 新・日々のダベり。 | No Comments »

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